親が高齢になり、実家の管理や売却を検討する方が増えています。しかし、いざ売却を進めようとしても「名義が親のまま」「手続きが複雑」「認知症の心配がある」など、代理で進める際には思わぬ壁にぶつかることも。
安心して手続きを進めるためには、法的な仕組みや注意点を正しく理解し、信頼できる不動産会社と連携することが大切です。本記事では、親の家を代理で売却する際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
CONTENTS
この記事の目次
- 1. まず確認!代理で親の家を売却できるケースとできないケース
- 1-1. そもそも「代理」とは何か?
- 1-2. 代理で売却できるケース①:委任状を用いた「任意代理」
- 1-3. 代理で売却できるケース②:成年後見制度を利用する場合
- 1-4. 代理で売却「できない」ケース:親の意思確認が困難な場合
- 1-5. 代理で売却する前に確認すべき3つのポイント
- 2. トラブルを防ぐための「委任状」作成と手続きの流れ
- 2-1. 委任状とは?なぜ必要なのか
- 2-2. 委任状作成の基本ステップ
- 2-3. 実際の手続きの流れ
- 2-4. 委任状作成でよくあるトラブルと注意点
- 3. 成年後見制度を使う場合の注意点と手続き期間
- 3-1. 成年後見制度とは?
- 3-2. 成年後見制度を使って不動産を売却できるのはどんなとき?
- 3-3. 成年後見制度の手続きの流れ
- 3-4. 手続きにかかる期間と費用の目安
- 3-5. 注意点①:家族が後見人になれない場合がある
- 3-6. 注意点②:売却代金の使途には制限がある
- 3-7. 注意点③:すぐに売却したい場合には不向き
- 3-8. 地域密着の専門家に相談することでスムーズに進行
まず確認!代理で親の家を売却できるケースとできないケース

高齢の親の家を売却する際、「親が高齢で外出が難しい」「書類の手続きが複雑で代わりに進めたい」と考える方は多くいらっしゃいます。しかし、不動産の売却は法律上の「権利の移転」に関わる非常に重要な行為のため、家族であっても勝手に進めることはできません。代理で売却できるのは、きちんと法的な手続きを踏んだ場合のみです。
ここでは、「代理で売却できるケース」と「できないケース」を整理しながら、それぞれの注意点を解説します。
そもそも「代理」とは何か?
「代理」とは、本人(この場合は親)に代わって他人(子どもなど)が法律行為を行うことを指します。不動産の売却契約や登記の手続きなどは、まさにこの「法律行為」に該当します。
代理行為が有効となるには、以下の条件が必要です。
1. 本人の明確な意思に基づいていること
2. 代理人に「代理権」が与えられていること
3. 代理人が本人のために行動していること(本人名義で契約を結ぶこと)
つまり、 親の意思確認と正式な委任があるかどうかが、代理売却の可否を分ける最大のポイントです。
代理で売却できるケース①:委任状を用いた「任意代理」
最も一般的なのが、親本人の意思に基づいて作成された「委任状」による代理です。
親が売却の意思を持っており、かつ判断能力に問題がない場合は、委任状を作成することで子どもなどが代理人として手続きを進められます。
委任状による代理売却の流れ
1. 親が売却を希望し、代理人に手続きを委任する意思を確認する
2. 委任状を作成(売却する物件の情報、委任する内容を明記)
3. 親の実印で押印し、印鑑証明書を添付
4. 不動産会社との媒介契約、売買契約、決済まで代理人が実施
このとき注意すべきなのが、 委任状の内容と本人確認です。
近年は高齢者を狙った不正売却や詐欺防止の観点から、不動産会社・司法書士が本人の意思確認を厳しく行うようになっています。
たとえば、「親が本当に売却を希望しているか」「委任の内容が明確か」「押印や書類の作成が本人の意思で行われたか」などを慎重にチェックします。
よくあるトラブル例
▪️ 子どもが「親の了承を得ているつもり」で進めたが、実際には親が内容を理解しておらず契約が無効に
▪️ 委任状に不備があり、決済直前で登記が進められなかった
▪️ 印鑑証明書の有効期限(発行から3か月以内)が切れていた
これらを防ぐためには、早めに不動産会社や司法書士へ相談し、正しい形式で書類を準備することが重要です。
代理で売却できるケース②:成年後見制度を利用する場合
もし親が認知症などで判断能力が低下しており、「売却の意思確認ができない」場合は、成年後見制度の利用が必要です。
この制度では、家庭裁判所が選任した「成年後見人」が本人に代わって財産管理や法律行為を行います。
成年後見制度の流れ
1. 家庭裁判所に後見開始の申立て(家族や親族などが申請)
2. 裁判所が審査を行い、後見人を選任
3. 成年後見人が代理で売却手続きを行う
ただし、成年後見人が勝手に売却を決められるわけではありません。
売却には、裁判所の「不動産処分許可」が必要です。
つまり、後見人が「本人(親)の生活や介護費用のために必要」と説明し、裁判所が妥当と認めた場合のみ、売却が許可される仕組みです。
注意点とデメリット
▪️ 申立てから許可までに数か月かかる
▪️ 家族が後見人になれない場合もあり、専門職(弁護士・司法書士など)が選任されることがある
▪️ 売却代金の使途が制限される(本人の利益のためにのみ使用可)
つまり、早急に売却したい場合には向かない制度ですが、法的に最も確実で安全な方法です。
代理で売却「できない」ケース:親の意思確認が困難な場合
もっともトラブルになりやすいのが、「親が認知症気味で、売却の意思確認が曖昧な状態」のまま手続きを進めようとするケースです。
この場合、委任状を作成しても法的には無効と判断される可能性があります。
なぜなら、委任状の作成自体が「本人の意思能力に基づく行為」だからです。
また、「口頭で了承を得たから」「家族だから大丈夫」という理由で売却を進めると、
契約後に親や親族から「本人の同意を得ていない」と訴えられ、契約の取り消しや損害賠償問題に発展する恐れもあります。
このような場合には、焦らずに専門家へ相談し、後見制度の利用も含めて最適な方法を検討することが大切です。
代理で売却する前に確認すべき3つのポイント
代理売却をスムーズに行うためには、次の3点を必ずチェックしましょう。
1. 親の判断能力が保たれているか?
→ 医師の診断書や本人面談を通して、売却意思を確認する。
2. 委任状や後見制度など、法的手続きが整っているか?
→ 書類の形式・有効期限・印鑑証明を正確に管理。
3. 信頼できる不動産会社がサポートしてくれるか?
→ 高齢者や代理人の手続きを熟知している地域密着型の不動産会社を選ぶ。
特に足立区・北区エリアでは、高齢の親世代が所有する住宅の売却が増加傾向にあります。
そのため、地域事情に精通し、高齢者世帯へのサポート体制が整った不動産会社を選ぶことが、安心・安全な売却への第一歩になります。
トラブルを防ぐための「委任状」作成と手続きの流れ

親が高齢で外出や複雑な契約手続きが難しい場合、子どもなどが「代理人」として売却を進めるためには、正式な委任状を用意することが不可欠です。
しかし、この委任状の作成方法や内容を誤ると、せっかく売却が決まっても「無効」と判断されてしまうケースもあります。
ここでは、トラブルを防ぐための委任状の作成ポイントと、売却までの具体的な流れをわかりやすく解説します。
委任状とは?なぜ必要なのか
委任状とは、本人(親)が代理人(子どもなど)に対して、どのような権限を与えるのかを明確に示す書面です。
不動産の売却は、法的効力の大きい契約行為であり、「誰が誰のために行うか」を書面で証明しなければなりません。
口頭での同意や「家族だから大丈夫」という理由では、売買契約や登記手続きは進められません。
特に近年は、不正取引や高齢者の意思確認に関するトラブルを防ぐため、
不動産会社・金融機関・司法書士のいずれも、委任状と本人確認書類の提出を必須としています。
この委任状が正しく整っているかどうかが、代理売却の信頼性とスムーズさを左右するのです。
委任状作成の基本ステップ
① 親の売却意思をしっかり確認する
まず前提として、委任状を作成できるのは「本人(親)に売却の意思があり、判断能力がある場合」に限られます。
親が認知症などで意思確認が難しい場合は、成年後見制度を利用する必要があります(前章参照)。
不動産会社によっては、契約前に親本人と面談し、売却意思を確認することが求められる場合もあります。
② 委任状の内容を明確に記載する
委任状には、以下の項目を必ず記載します。
▪️ 本人(委任者)と代理人の氏名・住所・生年月日
▪️ 売却する不動産の所在地・地番・家屋番号など(登記簿通り)
▪️ 委任する内容(例:「当該不動産の売買契約締結・代金受領・登記手続き」など)
▪️委任状作成日
▪️ 本人の署名・実印押印
書式は特に決まりがありませんが、不動産取引では「正式な実印」を押印するのが原則です。
また、登記や契約に用いるため、 印鑑証明書(発行から3か月以内)を必ず添付します。
③ 公証役場での確認を行うとより安心
書面上の委任状だけでも代理行為は可能ですが、トラブル防止のために「公正証書」にするのも有効です。
公証役場で本人が出向き、委任の内容を公証人の前で確認して作成したものは、法的効力と信頼性が格段に高いとされています。
特に高額取引や複数名義の場合には、公証手続きを検討すると安心です。
実際の手続きの流れ
ここでは、委任状を使った代理売却の流れを時系列で見ていきましょう。
1. 親と代理人で事前打ち合わせ
売却理由や希望価格、今後の進め方を話し合う。
この段階で親の意思をしっかり確認しておくことが重要です。
2. 不動産会社へ相談・媒介契約の準備
地域に詳しい不動産会社を選び、代理人として媒介契約を締結します。
会社によっては、親本人への電話確認や本人署名の確認を求められることもあります。
3. 委任状・印鑑証明書の準備
本人の実印で押印した委任状と印鑑証明書を提出。
不備があると契約や登記が進められないため、作成時には司法書士など専門家の確認を受けるのがおすすめです。
4. 売却活動〜契約・決済
代理人が売却活動を進め、買主が見つかれば契約締結へ。
契約時には、代理人が「委任状に基づいて代理している」旨を明示します。
代金の受け取りや登記申請も代理人が行うことが可能です。
5. 登記手続き・引き渡し
売却代金の受領後、司法書士が登記を行い、名義を移転します。
このとき、登記申請書にも委任状の写しが添付されます。
委任状作成でよくあるトラブルと注意点
代理売却の現場では、委任状の不備が原因で取引がストップするケースが少なくありません。
特に注意すべきポイントをまとめると、次のとおりです。
▪️ 印鑑証明書の有効期限切れ(発行から3か月以内が原則)
▪️ 委任内容の不明確さ(「売買契約一式」「登記手続き」などを具体的に記載)
▪️ 登記簿上の住所と本人住所の不一致(引越し後の住所変更登記を済ませておく)
▪️ 親の署名が代理人による代筆(無効になる可能性が高い)
これらのミスを避けるためには、 書類作成段階から不動産会社・司法書士のチェックを受けることが非常に大切です。
また、委任状は「一度作ればずっと有効」というものではなく、契約内容ごとに作り直しが必要な場合もあります。
たとえば、売却活動中に条件が変わった場合や、媒介契約を別の会社に切り替える際などは、再度委任状を作成し直すことが一般的です。
成年後見制度を使う場合の注意点と手続き期間

親が認知症を発症していたり、判断能力が低下している場合、委任状による代理売却は原則として認められません。
そのような場合に利用できるのが、「成年後見制度」です。
しかし、制度の仕組みを正しく理解していないと、申立てに時間がかかり、思わぬトラブルや遅延を招くこともあります。
ここでは、成年後見制度を利用して親の家を売却する際の注意点や、実際の手続きの流れを詳しく解説します。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人の財産や生活を法的に守る制度です。
本人の代わりに「成年後見人」が選任され、契約・財産管理・不動産の処分などを行う権限を持ちます。
家庭裁判所が関与するため、トラブル防止や悪用の防止という点で非常に安全性の高い制度です。
制度には、次の3つのタイプがあります。
| 種類 | 対象者 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 成年後見 | 判断能力がほとんどない人(例:中〜重度の認知症) | 後見人がほぼ全ての財産行為を代理 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分な人 | 裁判所の許可を得て特定行為を代理可能 |
| 補助 | 判断能力がやや不十分な人 | 一部の行為のみ代理可能(本人の同意が必要) |
高齢の親が認知症などで売却の意思表示が難しい場合は、多くが「成年後見」に該当します。
成年後見制度を使って不動産を売却できるのはどんなとき?
成年後見制度を利用しても、どんな目的でも不動産を売れるわけではありません。
家庭裁判所は、本人の財産を守る立場にあるため、
「売却が本人の生活や介護の維持に必要である」と認められた場合に限って許可を出します。
売却が認められる主なケース
▪️ 老人ホームや介護施設への入居費用を確保するため
▪️維持・管理が困難な空き家の負担を軽減するため
▪️ 相続対策としてではなく、本人の生活資金を得るため
一方、「相続税対策」や「家族が現金化したい」といった理由では、許可が下りない場合もあります。
この点を理解せずに進めると、後見制度を申請しても売却できない、という結果になりかねません。
成年後見制度の手続きの流れ
1. 申立て準備
家庭裁判所に申立てを行うため、必要書類を集めます。
(申立書、診断書、親族関係図、財産目録など)
2. 申立て(家庭裁判所へ提出)
申立人は原則として配偶者や子どもなどの親族。
裁判所に申請後、面接や医師の意見書提出が求められます。
3. 後見人の選任
裁判所が候補者を審査し、最適な後見人を選任します。
家族が選ばれることもありますが、弁護士や司法書士など専門職後見人が任命されるケースも多いです。
4. 後見人の活動開始
選任が確定したら、後見人は家庭裁判所の監督下で財産管理を行います。
不動産売却を希望する場合は、「不動産処分許可申立書」を提出し、再度裁判所の許可を受ける必要があります。
手続きにかかる期間と費用の目安
成年後見制度を利用する場合、申立てから後見人選任まで2〜3か月程度かかるのが一般的です。
その後、不動産処分許可の申請・審査にも1〜2か月を要するため、売却完了までは合計で4〜6か月ほどを見込む必要があります。
費用面では、申立て時の実費(収入印紙・登記印紙・診断書費用など)が約1〜2万円程度。
専門職が後見人となる場合は、月2〜3万円ほどの報酬が発生します。
ただし、売却後の収益から支払う形で運用できるケースもあります。
注意点①:家族が後見人になれない場合がある
家族が申立人であっても、裁判所が「利益相反の恐れがある」と判断した場合、専門職(弁護士・司法書士など)が後見人として選任されることがあります。
たとえば、家族が売却代金の一部を使いたいと考えていたり、相続人同士の意見が分かれている場合などが該当します。
この場合、家族が思うように売却を進められないこともありますので、あらかじめ理解しておくことが大切です。
注意点②:売却代金の使途には制限がある
成年後見制度のもとで得た売却代金は、本人の利益のためにのみ使用が認められます。
つまり、介護費用・医療費・施設入居費などに充てることはできますが、
家族が自由に使うことや、相続のために分配することはできません。
後見人は毎年、家庭裁判所に「収支報告書」を提出する義務があり、支出内容はすべて監督下に置かれます。
注意点③:すぐに売却したい場合には不向き
成年後見制度はあくまで“本人保護”が目的の制度です。
したがって、スピードよりも法的な正確性と安全性が優先されます。
「空き家が劣化しているから急いで売りたい」「税金が上がる前に手放したい」という理由では、すぐに売却するのは難しいことが多いです。
そのため、 親の判断能力が低下する前に、早めに方針を決めておくことが最善のリスク回避になります。
地域密着の専門家に相談することでスムーズに進行
足立区・北区エリアでは、近年、成年後見制度を利用した売却相談が増えています。
当社では、地域密着の不動産会社として、司法書士・行政書士と連携し、後見制度の申立て準備から売却完了までをワンストップでサポート。
独自のデータベースと市場分析に基づき、売出後半年以内成約率90%・乖離率5.3%という高い実績をもとに、「法的に安全かつ現実的な売却プラン」をご提案しています。
親の家の売却は「代理手続きの理解」と「信頼できるパートナー選び」がカギ
親の家を売却する際は、「誰が」「どのような権限で」進めるのかを明確にすることが最も大切です。
委任状による代理売却が可能なケースでも、書類不備や意思確認のトラブルが起こりやすく、認知症など判断能力に問題がある場合は、成年後見制度の利用が必要になります。制度の違いや手続きの流れを正しく理解しておくことが、後々のトラブル防止につながります。
また、法的知識や地域事情に詳しい不動産会社・司法書士などの専門家に相談することで、安心してスムーズに売却を進めることが可能です。
親の大切な資産を守るために、「手続きの理解」と「信頼できるパートナー選び」を両立させることが成功のカギとなります。
足立区・北区で高齢の親の家の売却に悩んだら、まずはお気軽にご相談ください。代理手続きや法的サポートも含め、安心の売却をトータルサポートいたします。

